『頂凶決戦』
間柴vs沢村。作中の二悪、否、二凶が、遂に露わにすべきものを露わに闘いだす。
両者の対決が分かった時から、「どちらが勝つのだろう？」「どちらが強いのだろう？」というより、「どんな死闘になるのだろう？」と興味を抱いた読者は多かったのではないだろうか。
その期待を裏切らない、凶暴で凄惨な、ルールも正義もない死闘。両者の禍々しさと執念は、すぐ迫るはずの決着に、単純な有様を想起させない。

同時に、二人の反則の後先や、その場の有利不利に振り回される観衆の描き方も、さりげなく残酷で上手い。
"魔界の住人"と言わしめる二人が、一歩のような観衆の共鳴できるヒーローでなく、文字通り、リングを隔絶した異界として闘う存在である、と暗示されているかのようだった。